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チェルシー 銀器を模した皿(1752-58年頃)
A Chelsea Silver-Shaped Dish C.1758-58



 チェルシー経営者のニコラス・スプリモント(Nicholas Sprimont:コラム3を参照。)は、もともと銀職人だった経歴を活かして、銀器を模した形状の作品を多く製造した。この皿もその一例である。レイズド・アンカー期に導入されたと考えられているこの皿は、レッド・アンカー期を経てゴールド・アンカー期に至るまで製造が続けられた人気の形状だったようである。

 ボストン美術館(美術館探訪欄の同美術館のページを参照。)に、スプリモントが作った銀器のソースボート・柄杓とスタンドが収蔵されている(下記リンクを参照)。そのスタンドが、本品と同様の形状であり、本品も磁器製のソースボートのスタンドとして作られたものだったかもしれない。

https://collections.mfa.org/objects/271934/sauceboat-and-stand?ctx=de4c986a-2d52-45b0-909d-bf1e4a9ec911&idx=0
https://collections.mfa.org/objects/482044/sauceboat-stand-and-ladle?ctx=c61fd069-f379-49c2-ade8-cede099f9c91&idx=22

 本品には、エナメルの多色彩で描かれた花束や小花が散らされている。茶色の縁取りと合わせて、落ち着いた雰囲気の作品である。裏面には赤い錨のマークがあるが、目痕の一つの下になって、マーク上部が消えてしまっている(マークのサイズは、残っている部分の長さが3mmで横幅は5mm)。強い光にかざすと、素地の中に気泡(いわゆる「ムーン」)が見られる。



サイズ/Size: 24.3cm x 19.1cm
マーク: 赤い錨
Marks: a red anchor
参照文献/References:
-F.Severne Mackenna "Chelsea Porcelain The Red Anchor Wares" Fig.40 (Plate 20)
-Elizabeth Adams "Chelsea Porcelain (1st ed.)" pp.16-18, Plate 7 and Colour Plate VI
-John C. Austin "Chelsea Porcelain at Williamsburg" Items 43, 67, 84 and 85
-British Museum Website:
 https://www.britishmuseum.org/collection/object/H_1959-1102-137
 https://www.britishmuseum.org/collection/object/H_1887-0307-II-65
-V&A Museum Website:

 http://collections.vam.ac.uk/item/O335773/dish-chelsea-porcelain-factory/
 http://collections.vam.ac.uk/item/O77835/dessert-dish-chelsea-porcelain-factory/



(2020年8月掲載)